『深夜放送のハプニング』 (眉村 卓)

『深夜放送のハプニング』と『闇からの誘惑』というジュブナイル中編2編からなる1冊。

『深夜放送のハプニング』は、深夜ラジオ番組のDJをつとめるイラストレーターが主役の短編3つから構成されている。
かつてラジオの深夜放送は、中高生ならみんな好きなDJがいてその番組を楽しみに聞きそしてリクエストはがきを送っていたんかじゃないかな。そういう時代背景もあり、ティーンエイジャーの文化に大きな影響を与えていたいわば花形だったと思う。そういう場において起こるちょっと怪奇現象も含んだ作品だ。あとがきを読むと作者の眉村さんもDJをやっていたらしい。そういう経験からの発想なんでしょうね。

『闇からの誘惑』は中学を舞台としたいかにもジュブナイルといえる作品。
新任の先生が実は新人類=ミュータントで、主人公の中学2年生がその組織に取り込まれようとされるストーリーだけど、ストーリーは今後の展開を予感させるような終わり方をしているので、もしかしたら続編があるのかな。
その中学校で中学生たちを組織化するための表向きの団体が“読書研究会”で、主人公はすでに“読書部”に所属しているので“同じような団体に所属するわけにはいかない”という理由もあり拒絶するというのがなんだかおかしかった。
ミュータントである先生は心を読んだり人をコントロールすることができる。超能力者は『七瀬ふたたび』を思い出させるなあ。

『深夜放送のハプニング (角川文庫)』 (眉村 卓)

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