『つばき、時跳び』(梶尾 真治)

昨夜は、のだめなんとかというドラマの最終回らしくTVのチャンネル争いに破れてしまったので、買っておいた『つばき、時跳び』というタイムトラベルもののSFを読んだ。一気に読んでしまった。
現代に生きる惇という作家である青年と、江戸時代末期に住む“つばき”という若い女性が時を隔てて出会い、そして恋をするという物語だ。遠距離恋愛どころではないので、はらはらしてしまうところがタイムトラベル+恋愛というモチーフが面白いので古今東西似たような小説はあるが、同じような物語があっても別にいいじゃないか。私のとても好きなジャック・フィニィという作家がいるが、彼の書いた物語と肩を並べるほどのできではないかと思う。
この小説を読むと、それぞれの時代の風景や舞台設定は目に浮かぶように書かれているので、読んでいると映像が頭に浮かんでくる。ぜひ頭の中だけにとどまらないで、テレビなどで制作されるのを期待している。

ちょっとだけ、意見を言わせていただくと、惇とつばきがお互いにどこに引かれて好きになって行くのかがはっきりしていないところがちょっと気になった。100年という壁を乗り越えてまで再会したい強い気持ちにさせるのだから、好きになるようなきっかけがはっきりと伝わった方が恋愛小説としても受け入れられやすいのではないだろうか。

さて、梶尾 真治さんのブログ「カジシンエッセイ」のなかで、「時を超える話」という記事でこの作品について解説がされている。読んでびっくりなのは、物語の中で重要な舞台となる「百椿庵」という家は、実際に作家の家で間取りもそのままなのだそうだ。さらに驚くのは、実際の家でも女性の幽霊が出たというような話があったということだ。





"つばき、時跳び" (梶尾 真治)

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