『リングワールドの子供たち』

ラリイ・ニーブンのSF“リングワールド”シリーズの第四作が日本語版で出版されていた。
これまで結構な数のSF小説を読んでいるが、そのなかでもかなりオススメなのがリングワールドだ。魅力はその壮大なスケール。恒星を取り巻くのは惑星ではなく人工のリング状の構造物だが、1600万分の一のモデルにしても直径20km(山手線がその中におさまる)で、リングの幅は100m、淵の厚さはわずか10cm、地盤の厚さは1ミクロンということになるらしい。太陽は必ず真上にあるので、日の出日の入りはより恒星に近いところに造られた日影をつくる人工構造物によってもたらされる。
リングワールドの地表はもちろん広大なので知性を持った生物も数多く生息しているが、そしてなぜか地球や火星を模した大陸もある…。この魅力的な“舞台”だけではなく、登場人物もまた魅力あるキャラクターでストーリーが展開される。ルイス・ウーという主人公はまあリングワールドの謎を探って行くガイドのようなものなのでかかせないのはもちろん、「プロテクター」という生物が大きな鍵を握っている。ヒューマノイドはこのプロテクターに変態することがある。プロテクターが本当の成人であり、例えば人間の形態は「ブリーダー」という段階に過ぎない、なんてえことがシリーズを通してモチーフの一つとして重要だ。

第四作である『リングワールドの子供たち』では、謎であったリングワードの構築に関わる秘密が明らかにされる。一方、途方も無い科学力なくしては造ることができないリングワールドの技術を我がものにしようと銀河各所から集まった知的生物によってリングワールドの争奪戦が繰り広げられ、リングワールドそのものの存在が危なくなってしまう。さあどうする!ルイス・ウー!…




"リングワールドの子供たち―ノウンスペース・シリーズ" (ラリイ ニーヴン)

コメント

匿名 さんのコメント…
さっそくリンクを踏んで注文してしまいました。まだ、中学生か高校生だった頃、「無常の月」をうっかり読んでしまって以来のお気に入りの作家です。